2023年度後期 応用法社会学 期末試験講評

  • 問1 (1)
    比較的よく書けている答案が多かった。特に,創発特性という現象の基本的な意味は多くの受験者が押さえていたようである。そのうえで,具体例を適切に挙げることができているかで得点の差がついた(なお,設問として問うたのは社会現象としての創発特性であるので,《酸素分子と水素分子の結合で水になる》というような自然現象を例とするのでは不適切である)。
  • 問1(2)
    法的三段論法の説明は,学生の所属学部を問わず,ある程度適切に理解されていたようである(しかし非常に簡潔な解答も散見され,その場合は評価が低くなった)。ただし,その成立の前提(第12回授業レジュメ参照)については,見当違いの答案が少なくなく,また,ポイントとしては適切な指摘がなされている場合も,致し方ないとはいえ,単なる列記に留まる答案が目立った。設問の趣旨としては,法的三段論法の歴史的・社会的被規定性を理解していることを示してほしい,というところにあったが,そこまで書いている答案は少なかった。
  • 問2
     答案の構成として,まず,リベラル・フェミニズムとラディカル・フェミニズムそれぞれの説明がなされることが必要であるが,それができていない答案も一定数あり,そうしたものの評価が低くなったのは当然である。そのうえで,一つめの文章がリベラル・フェミニズムの見方を反映したもので,二つめの文章がラディカル・フェミニズムの見方を反映したものだと理解するのが自然であるが,そうでない捉え方も可能であるので,そのようなアプローチをした答案も然るべく採点した(とはいえ,その方向では適切な整理がむずかしかったようであり,高い評価を得たものは少なかった)。
     また,リベラル・フェミニズムの考え方には,意義と同時に,一定の限界があるのも確かであり,だからこそラディカル・フェミニズムの見方がでてくるのであるから,リベラル・フェミニズムの限界まで指摘している答案に高い評価を与えた。他方,ラディカル・フェミニズムとの関係では,社会構造論に関する指摘をしてある場合に,加点をした。
     なお,設問で「対比的に説明」せよ,と指示してあるので,対比が明確でない場合には評価が低くなっている。
  • 最終評価
    (期末試験90%,ミニットペーパー(3回)10%で計算した点数)の分布は以下のとおり: 履修登録者61名(履修取消者を除く。期末試験受験者は42名)
     90点以上:1名 
     80-89点 :7名
     70-79点:10名
     60-69点:13名
     59点以下:30名