・問1 (1) 配点15点
設問は,川島武宜の「契約過程の特徴」についての議論を問うているのであるから,彼の「法意識」論全般に解消される内容の解答では十分でない。したがって,川島の社会構造論だけを(あるいは,そこに重点を置いて)説明している答案は,評価が低いものとなった。そのうえで,契約過程の特徴として川島が示した議論については,授業において明確に説明したので,その点が適切に解答されているか,を評価の主要なポイントとした。
・ 問1(2) 配点20点
本問は,問われている事項が(a)および(b)と明確であり,かつ,それぞれに対応するべき内容も,授業で話された内容との関係で一義的に定まるはずである。したがって評価に際しては,それぞれが適切に説明されているかをポイントとした。なお,解答者としては「(a)への解答だ」と述べつつ,実際には(b)すなわち運動が生じた経緯について説明するという解答が案外と多かったが,そうした場合は,(b)の部分への解答がなされているものと(いわば)善解して評価した。
・問2 配点65点
設問で示した事例が「法」と言えるかどうかを検討する際には,授業の内容を前提とすれば,
(a) 一定の行動が当該集団内での慣習として現に成立しているか?
(b) 当該慣行が「(一次)ルール」として当該集団の構成員に受け入れられているか?
(c) 二次ルールが当該集団において一定程度明確に存在しているか?
(d) 当該集団内でルールが強行されているか?
などを理論的な手がかりとすることになろう。
評価にあたっては,こうした点についての検討を,各学説の的確な理解とともに行なうことができているか,に40点を配点した。そのうえで,議論展開の論理性に20点を配点し,文章の適切さなどに5点を配点している。
実質的な議論の進め方としては,(a)の点に照らして,慣行ないし慣習として成立している以上「法」と言える,というのが一つの選択肢だが,その場合,ハートが提示した議論((b)および(c)にかかわる)への反論をあわせて提示する必要が生じる。また,ハートの議論に基づきながら検討を行なう場合には,当該集団で二次ルールが存在しているか((c))は記事の上では明確でないので,その点に注目しながら検討を進めることになろう。なお,「法だ」という結論を導こうとする場合,案外と(d)の線で論じるのが説得力を持つように思われるが,そのような解答は多くなく,受講者の「法」イメージの大勢が窺われたように思われた(また,そのように行論する場合も,ハートの議論との付き合わせは,解答上必要である)。
・最終評価
(期末試験90%,授業中に実施したミニットペーパー10%で計算した点数)の分布は以下のとおり:
履修登録者117名(履修取消者を除く)
90点以上:3名
80-89点:13名
70-79点:28名
60-69点:31名
59点以下:42名
以上